Interview

ドクターズインタビュー

  • HOME>
  • ドクターズインタビュー

早川クリニック ドクターズインタビュー

「女性の“かかりつけ医”として、生涯に寄り添う医療を提供します」

大阪心斎橋で70年の歴史を持つ早川クリニックでは、婦人科・内科・泌尿器科・皮膚科の知見を活かしながら、女性のホルモンバランスに特化した専門外来を展開しています。思春期から更年期、そして老年期まで、女性の体は年齢とともにさまざまな変化を迎えます。そうした一人ひとりの悩みに寄り添うために、専門性と丁寧な対話を大切にしているのが、院長 早川潤(はやかわ じゅん)先生と副院長 久本 浩司(ひさもと こうじ)先生です。
今回はお二人に、ホルモン治療の専門的な取り組みや、患者さんとの向き合い方、そして今後の展望についてお話をうかがいました。

更年期は我慢の時代ではない」──専門外来を立ち上げた理由

更年期は我慢の時代ではない」──専門外来を立ち上げた理由
女性ホルモン外来を立ち上げた背景を教えてください。

院長 早川更年期の症状は、決して我慢するべきものではなくなってきました。以前からホルモン治療には力を入れていましたが、最近では若い世代でもピルなどホルモン療法が一般化しています。けれど「どこで相談していいのかわからない」「治療できるものだと知らなかった」と戸惑う方も少なくありません。そうした悩みを抱える方に、もっと気軽にアクセスできる専門的な外来をつくる必要性を感じたのがきっかけです。

副院長 久本「ホルモン専門医」という公的な資格があるわけではないですが、私たちは長年、女性ホルモンに関わる研究や治療に従事してきました。特に私は、エストロゲンと血管の関係を研究テーマにしてきたので、臨床だけでなく学術的な知見も活かして診療しています。

ホルモン治療が支える「見えない不調」──婦人科だけではない更年期の症状

ホルモン治療が支える「見えない不調」──婦人科だけではない更年期の症状
更年期の症状はどのような形で現れますか?

院長 早川更年期には、発汗やのぼせといった一般的な症状に加えて、皮膚の乾燥、髪の毛の変化、尿漏れといった泌尿器科的な症状まで多岐にわたります。私たちのクリニックでは、婦人科・皮膚科・泌尿器科の視点から総合的に診られるのが強みですね。初めての方でも“女性のかかりつけ医”として、まずは気軽に相談してもらえる環境を整えています。

副院長 久本ホルモンの変化は、気分の浮き沈みや睡眠の質にも関わってきます。最近ではPMSやPMDDなど、若い方にもホルモンに由来する不調の認知が広がっていますが、中高年になると更年期なのか、メンタルの問題なのか判別しにくいケースも。そうしたときにこそ、私たちが入口になり、必要があれば心療内科など専門の先生へ紹介する体制を整えています。

「人生の後半を健康に」──更年期治療は“その先”を見据えて

「人生の後半を健康に」──更年期治療は“その先”を見据えて
更年期治療が“将来の健康”に関わると聞きました。

院長 早川更年期の症状そのものは一時的なことも多いですが、見過ごすことで将来的なリスクにつながる点に注意が必要です。特に注目してほしいのは、骨粗鬆症や動脈硬化のリスクです。女性ホルモンが減少することで、骨密度が急激に低下したり、血管の柔軟性が失われてしまうんです。
50代で骨密度が減り始めると、60代になってから治療をしても“回復”までは難しい。V字回復は望めないので、やはり更年期のタイミングで予防的に治療を開始するのがベストです。女性ホルモンは見た目だけでなく、体の内側の健康に大きく関わっています。

副院長 久本ホルモン補充療法は、更年期の症状を緩和するだけでなく、骨や血管の健康を守る目的でも有効とされています。もちろん、全員が対象になるわけではなく、年齢や閉経からの年数によってもリスクは異なります。
ホルモン療法は開始時期が重要なので、患者さんには「早めに知っておく」ことの大切さを伝えるようにしています。

「治療の選択肢は多い方がいい」──ホルモン治療の個別最適化

「治療の選択肢は多い方がいい」──ホルモン治療の個別最適化
どのようにして患者さんに合った治療を選んでいるのですか?

院長 早川女性ホルモンの治療薬は、実は驚くほど種類があります。ピルをはじめ、貼るタイプ・塗るタイプ・飲み薬など、剤形だけでなく成分や作用の違いも多彩です。私たちはそれぞれの患者さんに合わせて、まさに「テーラーメイド」で治療を組み立てていきます。
特に当院は、女性ホルモン関連の治療薬に関する臨床試験を全国でも有数の件数で担当してきたクリニックです。製薬会社から臨床治験を依頼されることで、薬剤が販売される前から効果や副作用の特徴を深く把握できています。これにより、一般のクリニックでは得られない知見をもとに、患者さんにふさわしい治療を提案できるのが大きな強みです。

副院長 久本新薬が登場する前の段階から試験に携わっているからこそ、「この薬はこういう体質の方には注意が必要」といった情報も蓄積されています。患者さんにとっても、「なんとなく処方された」ではなく、裏付けのある選択肢を提示できることは、安心につながるのではないかと思います。

「“気のせい”ではありません」──ホルモンとメンタル不調の関係

「“気のせい”ではありません」──ホルモンとメンタル不調の関係
更年期のメンタル不調や気分の変動には、どのように対応されていますか?

副院長 久本ホルモンの変化は、気分の落ち込みやイライラ、不安感といった精神的な症状にも影響します。ただ、それがホルモンの影響なのか、本当に心療内科の領域なのか、患者さん自身では判断が難しいことが多いんです。そうした方には、まず婦人科の窓口で話を聞いて、必要に応じて精神科や心療内科へご紹介するようにしています。ホルモン検査で更年期や甲状腺の異常がわかるケースもあり、まずは原因の切り分けが大切です。

院長 早川甲状腺の病気や橋本病、バセドウ病などでもメンタルに不調が出ることがあります。ですので、いきなり精神科や心療内科に行くよりも、まずは私たちのような婦人科でチェックする方が自然な流れかもしれません。「気のせいかな」と片付けず、まず相談してもらうことが第一歩です。

「年齢を重ねても、美しく健康に」──ホルモン療法と見た目の変化

「年齢を重ねても、美しく健康に」──ホルモン療法と見た目の変化
ホルモン療法は美容やアンチエイジングにも関係がありますか?

院長 早川ありますね。女性ホルモンの減少は、皮膚の乾燥やシワ、シミの増加、さらには髪の毛が抜けやすくなるといった見た目の変化にも影響します。更年期にきちんとホルモンケアをしておくことで、将来的な骨粗鬆症や動脈硬化のリスクを減らすだけでなく、見た目の若々しさを保つ効果も期待できます。表面的なケアだけでなく、“中から整える”という視点が大切です。

副院長 久本最近では「エストロゲンには血管を守る作用がある」という研究も進んでいて、内面からの若返りという意味でも、早めのホルモン補充療法が注目されています。ただし、全ての方が適応になるわけではないので、個々の状態を見て安全性を確保した上で治療を提案しています。

「気になる“体重”の変化にも寄り添う」──医療ダイエットとホルモンの関係

「気になる“体重”の変化にも寄り添う」──医療ダイエットとホルモンの関係
医療ダイエット外来ではどのようなアプローチをされていますか?

院長 早川40代以降は代謝の低下に加えて、ホルモンの減少も体重の変化に関わってきます。中性脂肪が増えたり太りやすくなったりするのは、生活習慣だけでなくホルモン環境の変化も影響していることが多いんです。うちでは採血やホルモン検査を行いながら、必要に応じて脂質異常の治療薬、メタボ対応の内服、あるいは最近話題の医療用ダイエット薬などを活用しています。

副院長 久本また、骨盤底筋を鍛える医療機器「ビジリス(BISIRIS)」も導入しており、尿漏れ予防や軽度の筋力維持などにも効果が期待できます。20分程度座るだけで筋肉に刺激を与えられるので、更年期の方や運動が苦手な方にも人気です。無理のない方法で、体の内側から整えることを重視しています。

「“かかりつけ医”として寄り添い続ける」──女性の一生に伴走するために

「“かかりつけ医”として寄り添い続ける」──女性の一生に伴走するために
この外来や診療を通して、今後目指すクリニック像を教えてください。

院長 早川私たちの目標は、女性の“かかりつけ医”になることです。ホルモンの不調だけでなく、骨や血管の健康、皮膚や体調の変化、年齢に応じた悩みに一貫して対応できる体制を整えています。相談のきっかけは何でも構いません。長年通ってくれている方の中には、気になることがあると、まず私たちに聞いてくれる、そんな信頼関係も築けてきました。そういった「身近な専門医」でありたいですね。

副院長 久本女性のライフステージは、思春期から妊娠・出産、そして更年期・老年期まで変化し続けます。その一つひとつに向き合える存在として、通いやすさや安心感のあるクリニックでありたいと思っています。特別なことをするというより、当たり前のことを丁寧に積み重ねていく。その積み重ねが、長く寄り添える医療に繋がると信じています。

電話06-6245-2100

web予約